<1.3 ベクトルの外積>
次はベクトルのもう一つの積である外積についてです。
外積とはベクトルとベクトルからベクトルを作り出す積(ベクトル積)のことを言います。
物理的な具体例としてはモーメントが挙げられます。
ここで、モーメントのつり合いを考えてみましょう。
図に示すように、力のモーメントは(力)×(腕の長さ)ですから
、
で表されます。このモーメントのつり合い
であることにより、モーメントは釣り合って物体は回転しないわけです。
ここで、斜めに働く力のモーメントを考えてみましょう。
図に示すように、力FによるモーメントMは
ここで、
ですが、F2には物体に回転を発生させる力がありますが、F1にはその力はありません。
従ってF1による力のモーメントは0。
さらに、方向の違う力のモーメントについて考えてみましょう。
F1:z方向の力
F2:x方向の力
とすれば力のモーメントは
で同じですが、
→x軸まわりのモーメント(x方向)
→z軸まわりのモーメント(-z方向)
二つの力が回転を発生する力は異なり、その方向が違います。
力のモーメントはベクトルになっています。(向きは右ねじの法則)
この例の示すように、モーメントMは力Fと腕の長さとrの外積によって
大きさ:
と表され、一般的には次のように定義されます。
大きさ:A、Bを2辺とする平行四辺形の面積
方向 :A、B二つのベクトルに直交し、右ねじに進む向き
ここで大切なことは、交換法則は成り立たず、交換する(逆にかける)と向きが逆になります。
向きが右ネジの方向ですから、当然ですよね。