<1.10 回転と2行2列の逆行列>
平面内での回転と2行2列の行列の逆行列について考えてみましょう。
座標軸をθ回転する行列A
座標軸を−θ回転する行列B
とすると、一度θ回転して次に−θ回転(逆回転)することを表す行列は
となり、行列BAは単位行列になってしまいますから、座標軸を変えないことに対応しています。
その一方で、初めに−θ回転(逆回転)して次にθ回転することを表す行列は
となり、これも単位行列になることがわかります。
以上のことから、この平面の回転を表す行列は
となることがわかります。
普通の行列計算では交換法則は成り立たないので、この行列は特殊な行列であることがわかります。
また、
は単位行列と言い行列の積において「1」の役割を果たします。
任意の行列Aにおいて
また、
を満たすときBはAの逆行列と言いA-1(エー・インバース)で示します。
つまり
となります。