<3.13 ガウスの定理>
ようやく
ガウスの定理(ガウスの発散定理)たどり着きました。
これは、FEM定式化のところなどでよく現れます。
重要な定理でちょっと見たところでは難しそうですが、だいじな定理ですのでよく見てみましょう。
ガウスの定理とは発散(div)に関する積分定理で、「ある体積内での湧き出し量と表面から出ていく量は等しい」と言う内容の式です。
ガウスの定理の導出について見て見ましょう
まず、ベクトル場Aの中の微小体積を考えます。
この微小体積の湧き出しは、図に示すように微小面積dxdyのz方向の差を考えると
となります。
同様にdydzのx方向、dzdxのy方向の差をそれぞれ考えることで、
次の式が得られます。
ここで、
ですから、
ここで、この式を積分します。
右辺は微小部分の6面をぐるりと足し合わせていることに注意すると、
n:面の法線方向、体積内部から外部に向かう方向
:
dVの表面部分
dS:大きさがdSで面の法線方向を向くベクトル
なお、
はぐるりと一周足し合わせるという意味です。
ここで、さらに1つの面を共有する体積Vを考えます。
V1とV2はA面とB面を共有しています。
V1のA面とV2のB面は面積が同じで面の法線方向は逆方法であるために、両者の面積積分の和はゼロになります。
従って、
となり、共有する平面を除いた面の積分と同じになります。
一方、体積積分に対しては、
となり、両方の体積積分を足し合わせたものになります。
以上から、どんな立体でも微小な直方体の集合と考えることができるから、すべての立体についても外表面の積分と体積積分の考え方は成立します。
従って、微小体積だけではなく一般の体積に対して、ガウスの(発散)定理、すなわち、ベクトル場において体積積分と表面積分の関係は成り立ちます。
は立体の表面
なお、球の場合(球面座標系)では面の法線方向はr方向になり
となることに注意が必要です。
ここで、ガウスの定理の意味を考えてみましょう。
ベクトル場が流水の速度場vであると考えると、
vndSは単位時間に微小面から流れ出る水量です。従って、
は立体
Vの全表面積から流れ出る水量となります。
これが
は立体
Vの湧き出す水量に等しいと言うことですから、考えてみれば当たり前のことを言ってるわけですね。