2.9 ベクトルの微分>
 
ここまでは、普通にx-y-zの座標系で微分を考えていましたが、ベクトルの微分について考えてみましょう。
なんと言ってもFEM関係の本をよく見ると、このベクトルの微分はよく出てきます。
 
 
図に示すように、物体が点Pから点QΔt秒後に動いた場合
 
Pの位置ベクトル:
Qの位置ベクトル:
 
とすれば
 
移動ベクトル:
 
となり、
 
物体の速度:
 
と表されます。
ここで、瞬時の速度v(t)は
 
 
と定義されます。
ベクトルr(t)を時間微分した式は
 
 
と書き表され、一般に、時間微分、それ以外の微分と書きます。
ここまでは、関数fだったものをベクトルrに変えただけですのでわかりやすいですね。
それでは、このベクトルの微分を成分を使って表してみましょう。
 
 
図に示すように、rベクトルに対して、
 
xyz方向の単位ベクトル  :ijk
xyz方向のベクトル方向成分:xyz
 
とすれば、rベクトルは
 
 
と表すことができます。
ここで、運動を表す意味でxyzは時間の関数になっていることに注意です。
そこで、このrベクトルを時間で微分してみると、
 
 
となり、ベクトルを微分した式の各方向成分は、ベクトルの各方向成分を微分した式になるわけです。
ということは、ベクトルを一つ書いておけば各成分ごとに微分を書き連ねる必要はなくなり、エコですね。
 
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