<2.11 定積分とその物理的意味>
ここでは、積分(integral)の中の定積分と定積分の物理的な意味について考えてみましょう。
速度vと移動距離Lの関係について考えてみると、刻々とスピードが変わる速度vで時間tの間に移動した距離Lは図のように時間を区切って足し合わせれば求められます。
つまり、数式で書けば、
となります。
そこで、分割を限り無く細かくすれば正しい距離Lを求めることができます。
これを数式で表せば、
と表され、これが積分の定義になります。
微小部分を足し合わせるという見方をすれば、形式的には次の表し方がわかりやすいかも知れません。
他の例として、棒の質量mと慣性モーメントIに付いて考えてみましょう。
図に示すように、単位長さあたりの質量がρの棒を考えます。棒は原点を中心とした長さ
aとします。棒は原点を中心として
〜
の範囲にあります。
これを
N個に分割すると、一つの長さは
Δxですから、
となります。
ここで、全体の質量
mは一つの区間の質量が
ですから、
となります。
次に、慣性モーメント
Iを求めると、一つの区間
Δxについての原点まわりの慣性モーメントは
ですから、
となります。
積分では積分される関数と微少量の積が何を表しているかを考えることが必要です。
たとえば、
Fx(x):xでのx方向の力
x:位置
とすれば、F×Δxは仕事でですから
→
W:仕事
となります。
よく誤解されるのが、
が積分の記号だというものです。本当の意味はが積分の記号で、
dxは微少量ということです。つまり、
を足し合わせるというのが
の意味だということです。