<2.10 極座標を使ったベクトルの微分>
回転している運動系の場合、極座標を使ってベクトルの微分を考えることは有力な方法です。
ここでは極座標を使ったベクトルの微分について考えてみましょう。
図に示すように位置ベクトルrをer、eθで表すと、
ただし、
となります。
ここで、r(t)ベクトルを微分して速度ベクトルを求めて見ましょう。
と単純に計算するとこれは間違いです。
er、eθは時間の関数になっていますから、これを考慮しなければなりません。
正しく計算すると、
となります。
これは、
![](jsextout1_fig61.gif)
ですからから、微分の公式
![](jsextout1_fig71.gif)
を使って
と計算した場合と同じ結果になり、普通の微分形式で計算できることがわかります。
そこで、
![](jsextout1_fig91.gif)
、
![](jsextout1_fig101.gif)
を求めてみると、
ですから、
ここで、θは時間の関数θ(t)ですから合成関数の微分の公式より、
であり、
同様に、
となります。
ここで、erとeθの関係を見てみると、
という関係になっています。よって、
となり、これは速度ベクトルとなります。
ここで、
![](jsextout1_fig201.gif)
は角速度ですから、
![](jsextout1_fig211.gif)
=一定、
r=一定のとき等速円運動となり、
![](jsextout1_fig221.gif)
より
つまり
となります。
速度
vを微分してさらに加速度
aを求めると
![](jsextout1_fig311.gif)
であることを考慮に入れて、
となります。
ここでまた、等速円運動を考えると半径は変化しないので
![](jsextout1_fig261.gif)
、
![](jsextout1_fig271.gif)
、角速度は一定なので
![](jsextout1_fig281.gif)
ですから、
となり、等速円運動のよく見慣れた式
と一致します。
なにやらごちゃごちゃして複雑なように見えますが、途中の計算は合成微分と三角関数の微分さえわかっていればどうということはありませんね。
そして、等速円運動を考えればいつもの見慣れた式になるわけですから、納得ですね。